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2017/05/02

韓国最新政治事情‐大統領選挙有力候補者間の政策の違い、世論調査の動向を調べてみた!

こんばんは、韓国大統領選挙の行く末を見守っているタケオです。

2017年5月9日の韓国大統領選挙まであと1週間となりました。

今回は1週間後の投票日を前に、韓国各政党統一且つ有力候補者間の政策の違い、そして世論調査の動向等を見てみます。

目次
1. 共に民主党統一候補は文在寅に
2. 韓国大統領有力候補者各政策の違い:雇用問題
3. 韓国大統領有力候補者各政策の違い:経済問題
4. 韓国大統領有力候補者各政策の違い:外交・安保問題
5. 韓国大統領有力候補者各政策の違い:その他
6. 世論調査では文在寅候補が独走態勢
7. 終わりにー若者世代の大統領選挙の投票率に注目


共に民主党統一候補は文在寅に


共に民主党統一候補を決める党内選挙では、文在寅氏が統一候補者に決まりました。

文在寅氏は得票率57.0%を獲得し、2位の安煕正(안희정、アン・ヒジョン)忠清南道(충청남도、チュンチョンナムド)知事の21.5%、3位の李在明(이재명、イ・ジェミョン)城南市(성남시、ソンナムシ)長の21.2%に2倍以上の差をつけての圧勝でした。


参考リンク
ハンギョレ新聞2017年4月3日配信「文在寅 大統領選挙の候補に「国民が団結してこそ政権交代」(문재인 대선 본선직행 “국민이 집권해야 정권교체다”)」


韓国大統領府、通称青瓦台(청와대、チョンワデ)は、大韓民国歴史博物館屋上からも、小さくはありまますが建物を見ることができます。
朴槿恵前大統領は任期途中で青瓦台から追われることに。



韓国大統領有力候補者各政策の違い:雇用問題


政策別に各候補者間の違いを見てみます。
前回の大統領有力候補紹介記事からある程度時間が経ち、情勢が変化する中で公約中のニュアンスが多少変化しています。
まずは雇用問題です。


文在寅

公共機関を中心に5年間合計で81万人4,000人を新たに正規職員として雇用
内訳は、消防士・社会福祉専門公務員・教師・警察等、国民の安全と治安、福祉などのためにサービスする公務員の雇用17万4,000人、保育・医療・介護・社会的企業サービス公共機関及び民間委託部門の雇用34万人、公共部門の非正規職員を正規職員に転換で30万人


安哲秀

中小企業に就職した若手社員に2年間合計1200万ウォン支給
求職中の若者に6ヶ月180万ウォンの訓練手当支給


洪準杓

民間企業による合計110万人の新規雇用創出
内訳は、技術競争力を備えたグローバル革新型企業50万、若手企業家経営の技術開発系会社での28万人、サービス産業での32万人。


韓国で近年社会問題となっている雇用問題ということで、どの候補もある程度の具体的な数値を出しながら公約を掲げていますが、公共団体での創出(文在寅候補)か民間分野での創出(安哲秀候補・洪準杓候補)かによって主張が分かれています。


参考リンク
大統領選挙候補者公約|中央選挙管理委員会
ハンギョレ2017年4月14日配信「これほどわかりやすいものはない 大統領候補者5人公約総整理(‘이보다 쉬운 공략은 없었다’ 대선후보 5인 공약 총정리)」



韓国大統領有力候補者各政策の違い:経済問題


文在寅

大統領直属「4次産業革命(情報技術を核とした産業革命)委員会」を設置、スマートコリア(SmartKOREA)具現のための民間協業体系構築で4次産業革命を主導


安哲秀

政府主導の国家発展から脱し、民間主導に転換
4次産業革命人材10万人養成


洪準杓

4次産業革命育成のため、5年間20兆円をベンチャー企業・投資ファンドに助成


どの候補も4次産業革命の発展に力を注ぐという公約を立てていますが、政府主導(文在寅候補)から民間主導(安哲秀候補・洪準杓候補)かによって意見の違いが出ています。


参考リンク
大統領選挙候補者公約|中央選挙管理委員会
ハンギョレ2017年4月14日配信「これほどわかりやすいものはない 大統領候補者5人公約総整理(‘이보다 쉬운 공략은 없었다’ 대선후보 5인 공약 총정리)」


韓国大統領有力候補者各政策の違い:外交・安保問題


文在寅

対北朝鮮に関して、南北経済統合を優先して推進、漸進的統一推進
米韓関係に関して、軍事同盟とFTAを基盤に外交基軸として戦略的連帯持続
中韓関係に関して、戦略的協力関係の内実化


安哲秀

米韓同盟を遵守する一方、戦時作戦統制権の返還の要求準備
THHAD配置に関する安保と国家防衛確保を平行して推進
米韓同盟を基軸とする一方で、中韓戦略的協力関係を深め、米中日露と平和外交推進
対北朝鮮制裁を持続する一方で、民族和解、改革解放、統一のための対話と協調を模索


洪準杓

アメリカとの十分な協議の上での、朝鮮半島戦術核武器再配置推進
今年上半期内のTHHAD配置


洪準杓候補は対北朝鮮を睨んでのアメリカとの関係協調を訴えている一方、安哲秀候補はそれよりかは柔らかいトーンですが、アメリカとの関係を重視する姿勢です

文在寅候補はアメリカとも中国とも北朝鮮とも協力関係を築くといった全方位外交を目指しているように見えます

以前は、THHAD国会批准、慰安婦合意再検討も主張していましたが、大統領選挙での公約では中道層を意識したのか、明確そして具体的な記述をしませんでした。


参考リンク
大統領選挙候補者公約|中央選挙管理委員会
ハンギョレ2017年4月14日配信「これほどわかりやすいものはない 大統領候補者5人公約総整理(‘이보다 쉬운 공략은 없었다’ 대선후보 5인 공약 총정리)」
東亜日報2017年4月18日配信「文在寅 10大公約から『THHAD国会批准』除外(문재인, 10대 공약서 ‘사드 국회비준’ 제외)」


韓国大統領有力候補者各政策の違い:その他


文在寅

65歳以上に基礎年金一律30万円支給
男性育児休暇の期間拡大(現在有給3日・無給2日→有給10日・無給4日)


安哲秀

教育制度を6(小学校)・3(中学校)・3(高校又は専門学校)から5(小学校)・5(中学校)・2(進路選択又は職業学校)に変更
ドイツ式政党名簿式比例代表制・非拘束名簿式比例代表制導入
「地方政府」を憲法に明記し、司法政府の立法権・財政権を拡大する等地方分権強化
改憲を通じて青瓦台と国会を全て世宗特別自治市に移転


洪準杓

平均所得50%家庭の小・中学生を対象に月15万ウォンの「未来養成バウチャー」支給
65歳以上の基礎年金額30万ウォンまで引き上げ


文在寅候補や洪準杓候補は福祉や子供の養育に対しても注力する姿勢を見せています。

一方安哲秀候補は、教育制度・選挙制度の改革、政府機能の世宗特別自治市移転、地方分権の推進等、憲法改正が必要な事項を公約に掲げているところが、他の候補との一番の違いです。


参考リンク
大統領選挙候補者公約|中央選挙管理委員会
ハンギョレ2017年4月14日配信「これほどわかりやすいものはない 大統領候補者5人公約総整理(‘이보다 쉬운 공략은 없었다’ 대선후보 5인 공약 총정리)」
東亜日報2017年4月18日配信「文在寅 10大公約から『THHAD国会批准』除外(문재인, 10대 공약서 ‘사드 국회비준’ 제외)」



世論調査では文在寅候補が独走態勢


世論調査機関である韓国ギャロップ(한국갤럽)が4月28日に発表した最新の世論調査では、文在寅候補が支持率40%近くを得て独走態勢に入っています。

文在寅氏が共に民主党統一候補に決まった直後は、共に民主党候補者だった安煕正(안희정, アン・ジョンヒ)氏の支持者が安哲秀候補に回ったためか、文在寅候補、安哲秀候補共に30%と肉薄した時期もありましたが、その後4回に渡って録画若しくは生中継で放送された大統領候補者テレビ討論会を経て、再び文在寅候補が一歩リードしている状況となっています。

勿論結果は投票箱を開けてみないとわかりませんので、この1週間の動きも大事になってくると思います。

尚、洪準杓候補の最新支持率は12%と、上位の2人より非常に低い数字に留まっています。

参考リンク
朝鮮日報2017年4月28日配信「2強構図崩れる? 文在寅40%、安哲秀24%、洪準杓12%(양강구도 무너졌나.. 문재인 40% 안철수 24% 홍준표 12%)」



終わりにー若者世代の大統領選挙の投票率に注目


今回の韓国大統領選挙において、個人的には若者世代である20代~30代がどれだけ投票に行くかに注目したいと思っています。

何故ならば、あくまで個人的な印象ですが、20代~30代の殆どは弾劾された朴槿恵(박근혜、パク・クネ)前大統領を好んでいなかったにもかかわらず、もし彼らの内に今回の投票に行かない人が多ければ、また5年後に現職大統領弾劾という結果が起きかねないと見ているからです。

前回2012年10月に行われた大統領選挙では、朴槿恵氏と、現在共に民主党統一候補となっている文在寅氏の一騎打ちとなりましたが、朴槿恵氏の得票率が51.6%、文在寅氏の得票率が48.0%と、朴槿恵氏が僅差で当選を果たしています。

韓国の中央選挙管理委員会が発表した投票率分析結果によれば、年齢別投票率で、50代82.0%、60代以上80.9%と上位を占めた一方、20代前半71.1%、20代後半65.7%、30代前半67.7%、30代後半72.3%に留まっていて、これが朴槿恵氏の僅差の勝利に繋がったと僕は考えています。

今回の弾劾という事態を受けて、朴槿恵氏を嫌っていた多くの若者が、投票に行かないことも含めて、今回の投票でどのような行動をとるか、注目したいと思っています。


※参考リンク
第18代大統領選挙投票率分析結果|中央選挙管理委員会(韓国語)
第18代大統領選挙事後調査|韓国ギャロップ調査研究所(韓国語)

現代韓国や朴槿恵氏については、こちらの書籍もご参考に!

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