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2016/09/06

ドイツのメクレンブルク=フォアポンメルン州議会選挙の結果について‐ドイツ発ニュースから

こんばんは、タケオです。
9月4日(日)に、ドイツ北東部にあるメクレンブルク=フォアポンメルン州(Land Mecklenburg-Vorpommern)で州議会選挙(Landtagswahl)が行われました。
今回は、その結果を伝えるドイツ発ニュースを読んでみたいと思います。
公共放送局の一つであるARD(通称Das Erste、第一放送局)の記事です。


ARD 2016年9月4日メクレンブルク=フォアポンメルン州議会選挙特設ページ
2016年9月5日付ARD 「独メルケル首相 選挙結果責任認める」


◎メクレンブルク=フォアポンメルン州について


今回州議会選挙が行われたメクレンブルク=フォアポンメルン州は、旧東ドイツに位置し、ポーランドにも接しています。
バルト海に面していることがあり、リューゲン島(Rügen)やウーゼドム島(Usedom)等観光資源が多い州です。
州都はシュヴェーリン(Swerin)で、他の代表的都市としては、ハンザ同盟加盟都市であったロストック(Rostock)やヴィスマル(Wismar)が挙げられます。


◎選挙結果


ドイツの連邦州の州議会選挙は5年毎に行われ、投票数全体に対する対政党得票率に沿って、政党へ議席が配分される仕組みとなっています。
参考記事によれば、選挙結果は以下の通りでした。

※政党表記
CDU:Christlich-Demokratische Union Deutschlands、ドイツキリスト教民主同盟
SPD:Sozialdemokratische Partei Deutschlands、ドイツ社会民主党
Grüne:緑の党
FDP:Freie Demokratische Partei、自由民主党
Linke:左翼党
AfD:Alternative für Deutschland、ドイツのための選択肢

投票率61.6%

CDU:19.0%
SPD:30.6%
Grüne:4.8%
FDP:3.0%
Linke:13.2%
AfD:20.8%


前回に引き続き、連邦議会においてドイツキリスト教民主同盟と所謂「大連立(Große Koalition)」を組むドイツ社会民主党が第1党となりました。
前回の選挙では結党されていなかったドイツのための選択肢が第2党となり、アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相が党首のドイツキリスト教民主同盟は僅差ながら第3党に転落しました。


この結果、5%以上の得票率を獲得した政党に与えられる、メクレンブルク=フォアポンメルン州議会全71議席の配分は以下の通りとなりました。

SPD:26議席
AfD:18議席
CDU:16議席
Linke:11議席


◎選挙結果についての独政治家の反応


メルケル首相はG20が開催されている中国・広州で記者団に対し、選挙結果について自身の責任を感じつつも、現在の経済政策や移民・難民受け入れ等政策を維持する、と答えました。

In den Augen der Menschen kann man das nicht trennen, deshalb fühle ich mich natürlich auch verantwortlich.
Ich halte dennoch, die Enscheidungen, die sie in den vergangenen Monaten getroffen wurden, für richtig. 
Jetzt müssen wir daran weiter arbeiten.
(難民問題は)切り離せない重要課題ですから、(今回の選挙の結果について)私も責任を感じています。
しかし、これまでの過去数ヶ月間に下した決断は正しいと思っています。
これからも引き続き努力しなければと思っています。


一方、連立パートナーであり、今回の選挙で第1党の座を維持したドイツ社会民主党のジグマール・ガブリエル党首は次のように述べてメルケル首相を批判しました。

Einfach nur wiederholen 'Wir schaffen das', ohne es auch zu machen, das ist unsere Kritik
何もしないで「私たちはできる」と繰り返し言うのは簡単。
これが私たちの意見です。


◎終わりに


僕は選挙特設ページの分析を見て改めて、興味深いと感じたのは以下の3つです。
①失業者の多くがドイツのための選択肢に投票している。
②ドイツのための選択肢に投票した人の多くが、州議会において民主主義が機能していないと考えている。
③ドイツのための選択肢に投票した人の多くは、イスラム信者・経済のグローバル化を脅威に感じている。


これらをひっくるめて評価するならば
①メクレンブルク=フォアポンメルン州の失業者の多くは、失業の原因を移民・難民及びその中で多くの割合を占めるイスラム信者に求めている。
②これまでの州議会において失業対策が十分に行われなかったことを不満に感じ、新規極右政党であるドイツのための選択肢に票を投じた。

と言えるのだと思います。


ドイツ3州議会選挙の結果と、それに対する論説について‐ドイツ発ニュースからでも書いた通り、未だにドイツのための選択肢の主張には人道的観点がなく、更には「移民・難民の受け入れ反対」ということのみを強調しているだけで、受け入れを拒否した移民・難民を、他国と強調してどうやって扱うのか、他の先進国に漏れず少子化が進む中、どうやってドイツ経済・社会を維持していくのか、という具体的政策を示せていないように思えますが、それよりも失業者は不満の方を大きく感じているようです。


個人的には悲しいことだと思っていますが、これからの州議会選挙又は来年2017年の秋に行われる総選挙(Bundestagswahl)でドイツのための選択肢がどれほどの存在感を示すのか、それにメルケル首相がどう臨んでいくのかがこれからの注目点だと思います。

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