今日は、KBS朝のニュース番組「ニュース広場(뉴수광장)」を見て気になった「残滓語(잔재어、ザンジェオ)」について考えたいと思います。
◎日本から流入した言葉を韓国語に改めよう!?
先ずは「ニュース広場」で放送されたニュースを見てみます。
2016年8月13日付KBS 「曖昧だ・甲状腺・顧客 日本語の残滓今も残る(韓国語)」
<앵커 멘트>
'애매하다', '갑상선', '고객', 우리가 흔히 쓰는 이 말들이 일본어의 잔재라는 사실, 알고 계셨습니까?
광복 71주년이 됐지만 이처럼 무의식적으로 쓰이는 일본어나 일본식 한자어 등이 수두룩합니다.
<キャスター>
「曖昧だ」、「甲状腺」、「顧客」、私たちがよく使うこの言葉が、日本語の残滓だという事実をご存知でしょうか。
光復71周年を迎えますが、このように無意識の内に使われる日本語や日本式漢字語等が沢山あります。
<인터뷰>
윤미애·임지수 : "('애매하다'라는 표현이 일본 잔재어라는 사실 알고 계셨어요?) 어? 아니요, 지금 처음 알았어요.."
<インタビュー>
市民:(「曖昧だ」という表現が日本の残滓語だという事実ご存知でしたか?)いいえ、初めて知りました。
이번엔 흔히 쓰이는 '구라'를 물었습니다.
今度は日常的に使われる「구라(グラ、嘘)」について聞いてみました。
<인터뷰> 이희락 : "거짓말이라는 우리말이 있지만 그걸 표현하기에 어감이 너무 착한 척하는 것 같고"
<インタビュー>
市民:「거짓말(コジンマル)」という韓国語はありますけど、これだと大人しすぎるふりをしているような気がして。
「グラ」と日本式漢字語「曖昧」から来た「曖昧だ」は、韓国語では「コジンマル」と「模糊だ」に変えて書くのが正しいです。
쉽게 들을 수 있는 '고객'과 의학용어인 '갑상선'도 일본식 한자어입니다.
'손님'과 '갑상샘'이 바른말입니다.
よく聞く「顧客」と医学用語「甲状腺」も日本式漢字語です。
「손님(ソンニム)」と「갑상샘(甲状セム)」が正しい言葉です。
일본인들이 마음대로 만들어 쓰던 일본식 영어표기도 넘쳐납니다.
'돈가스'의 경우, 한자 '돼지 돈'에 영어 '커틀릿'의 일본식 발음인 '카츠'가 더해진 말입니다.
즉, 돈가스는 '돼지고기 튀김'이나 '돼지고기 너비 튀김'으로 바꿔써야 합니다.
이 외에도 '엑기스'는 '진액' '메리야스'는 '속옷', '백미러'는 '뒷거울'로 순화해야 합니다.
日本人が作って使っている日本式英語表記も韓国で溢れています。
「돈가스(トンカス、豚カツ)」の場合、漢字「豚」に英語「カツレツ(cutlet)」の日本式発音「カツ」が付け加えられた言葉です。
即ち、トンカスは「돼지고기 튀김(テジコギティギム、豚肉揚げ)」や「돼지고기 너비 튀김(テジコギノビティギム、豚肉幅広揚げ)」に変えなくてはなりません。
これ以外にも「엑기스(エキス)」は「津液」、「메리야스(メリヤス)」は「속옷(ソゴッ、下着)」、「백미러(バックミラー)」は「뒷거울(トィッコウル、後ろの鏡)」と直さなければなりません。
<인터뷰>
김정태(충남대학교 국어국문학과 교수) : "일제시대라고 하는 것은 우리나라 역사에서 아프고 어떤 설욕적인,굴욕적인 시대의 산물이기 때문에 다른 것과 똑같이 외래어라고 봐서는 안 되고.."
<インタビュー>
キム・ジョンテ(忠南大学校国語国文学科教授):日本植民地時代というのは、我が国の歴史の中で悲しく屈辱的な時代の産物ですから、他の外来語と同じ次元で見てはいけないわけでして。
'말'에는 역사가 담겨 있습니다.
나라를 되찾은 지 71년이 지났지만 여전히 우리 말은 길을 잃고 아픈 역사 속에 머물러 있습니다.
「言葉」には歴史が詰まっています。
国を取り戻して71年が過ぎましたが、未だに私たちの言葉は道を失い、悲しい歴史の中に留まっています。
どうやら「残滓語」というのは、1910年~1945年にかけて日本が朝鮮半島を植民地支配していた際に朝鮮半島に流入した日本語や日本で作られた漢字語が、朝鮮語発音化して解放後も定着した言葉を指すようで、そうした言葉を韓国語に改めなければ、というのがこのニュースの趣旨のようです。
外来語をきちんとした母国語に直そうということだけみれば日本においてもあって、この場合は、言葉自体が長すぎたり、パッと聞いただけでは意味が分かりにくいことが理由になっているわけですが、「残滓語」を韓国語に直そうという動きは、ニュースに出てきた教授の言葉を見る限り、「母国に悲惨な歴史を背負わせた国の言葉を使ってはいけない」という考えが働いているものと思われます。
◎まとめ:一部の歴史のみを見て、言葉を改めなければいけない、と言えるのか?
僕は、教授が言及している、残滓語を改めなければいけない理由について、歴史を端的にしか捉えていなく、理由として不十分ではないかと思います。
確かに日本が朝鮮半島を植民地支配して相当な被害を負わせたことは事実ですし、それからまだそんなに長く経っていないことを考えれば、日本という国に対して良くない感情を持つのは仕方ないことだとも思います。
しかし、果たして歴史はそういった部分だけで判断して良いものなのでしょうか。
東アジア地域を考えれば、日本・中国・朝鮮は何千年単位で交流を積み重ねてきて、地域間で恩恵を受けてきたことの方が多いわけで、短期的な歴史だけで判断するのは非常に危険なことではないでしょうか。
中国に対してはどうでしょうか。
朝鮮戦争において、北朝鮮を支援した中国は韓国の敵だったわけですが、漢字の学習については、「漢字は中国という外国の文字であり、韓国語の表記はハングルだけでも十分だ」という理由で殆どの学校で行われていなくても、だからといって中国由来の漢字語までなくそうという動きがないのは、中国が長い歴史の中で朝鮮半島との交流を続けてきたからに他ならないのではないでしょうか。
言葉も歴史と同じく、自国内だけでなく周辺国の影響も受けながら、長い積み重ねを通して定着したり変化したりしているので、それを不十分な理由で以て改めようにも少し無理があるのではないか、と思います。
救いなのは、このニュースのページには、Facebookでの「いいね!」のような、ハートマークの「共感」ボタンがついていますが、それが1回しか押されていないことでしょうか。
特に豚カツは余りにも定着しているので、豚カツを出す非常に多くの食堂から、看板修理の支援金を政府に要求されてもおかしくはなさそうではありますが(汗)。
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