2016年4月13日(水)に韓国で第20代国会議員選出選挙が行われ、その結果が出ました。
主要な結果については日本でも報道されていますが、僕自身も選挙直前に書いた日記の整理の意味で、結果についても書きたいと思います。
◎投票率
今回の投票率は58.0%で、2012年に行われた前回第19代国会議員選出選挙時の54.2%より3.8%増加しました。
参考リンク
2016年4月14日付KBS 第20代総選挙 最終集計投票率58.0% 過去12年で最高(韓国語)
◎候補者を擁立している、主な韓国の政党の選挙結果
○セヌリ党(새누리당)
現在の議席数145議席→122議席と大幅に議席数を減らし、議会第1党から第2党へと転落しました。
ソウル特別市(서울특별시)・仁川広域市(인천광역시)・京畿道(경기도)の首都圏で議席を伸ばせなったことや、従来の票田であった、釜山広域市(부산광역시)・大邱広域市(대구광역시)・蔚山広域市(울산광역시)・慶尚道(경상도)の嶺南地方(영남지방)においても、共に民主党や無所属候補者に敗れた選挙区が続出したことが響きました。
今回の選挙結果を受けて、金武星(김무성、キム・ムソン)議員は党代表職の辞任を発表しました。
参考リンク
2016年4月14日付韓国経済新聞 大邱・蔚山で無所属の風 セヌリ 嶺南でも笑みこぼれず(韓国語)
2016年4月14日付朝鮮日報 金武星「選挙惨敗の全ての責任を背負い、党代表職辞任」(韓国語)
○共に民主党(더불어민주당)
現在の議席数103議席→123議席と大幅に議席を伸ばし、議会内第1党にのし上がりました。
ソウル特別市と、ソウル特別市に隣接する京畿道各市・郡を中心に議席を獲得し、大邱広域市でも野党として史上初の議席を獲得する等の成果を得ました。
しかし、従来の票田であった光州広域市(광주광역시)と全羅道(전라도)の湖南地方(호남지방)において、殆どの議席を国民の党に奪われたことに関しては、共に民主党にとっては今後の政党運営に課題の残る結果となりました。
参考リンク
2016年4月13日付ハンギョレ新聞 共に民主 首都圏では歓声も、湖南で惨敗にため息(韓国語)
○国民の党(국민의당)
現在の議席数21議席→38議席と議席を大幅に伸ばし、議会第3党となりました。
光州広域市全てを含め、全羅道を中心に議席を獲得しました。
しかし、他の地域で立てた候補者が、安哲秀(안철수、アン・チョルス)氏を含めた2人しか勝てなかったことで、目標であった40議席には届きませんでした。
参考リンク
2016年4月14日付韓国日報 台風となった安風 国民の党3党構造形成し「台風の目」に(韓国語)
○正義党(정의당)
現在の議席数5議席→6議席と、1議席の増加となりました。
党代表の沈相奵(심상정、シム・サンジョン)候補者を含めた2人が小選挙区で当選しました。
選挙前は10議席を目標としていましたが、比例代表での政党得票率が思ったように伸びず、小選挙区と合わせた全体の獲得議席は6議席に留まりました。
参考リンク
2016年4月14日付韓国日報 国民の党に押し出された正義党 物足りない成績表(韓国語)
◎注目選挙区の選挙結果
○ソウル鍾路
党代表経験のある丁世均(정세균、チョン・セギュン)共に民主党公認候補者が、前ソウル特別市長の呉世勲(오세훈、オ・セフン)セヌリ党公認候補者を破って当選しました。
○ソウル蘆原丙
安哲秀国民の党公認候補者が、李俊錫(이준석、イ・ジュンソク)セヌリ党公認候補者や黃昶樺(황창화、ファン・チャンファ)共に民主党公認候補者等を破り、当選を果たしました。
○ソウル龍山
朴槿恵政権で保険福祉部長官(長官は日本省庁の大臣に相当)を務めた経験がありながら公認候補から漏れたことに反発してセヌリ党を離党した陳永(진영、チン・ヨン)共に民主党公認候補者が、黄椿子(황춘자、ファン・チュンジャ)セヌリ党公認候補者等他の候補者を破って当選しました。
○世宗
盧武鉉政権時に国務総理(日本での首相に相当)を務めた経験のあるベテランの李海瓚(이해찬、イ・ヘチャン)無所属候補者が、他の候補者を破って当選を果たしました。
李海瓚議員は、共に民主党への復党を希望しています。
◎まとめ
セヌリ党に関しては、過半数に届くどころか、議会第2党に転落したことで、執行部の総入れ替え等党内の混乱が予想されます(既に金武星議員は党代表の辞任を表明)。
共に民主党に関しては、全体としては議会第1党となる議席数を獲得しましたが、従来の票田地域において、前党代表の文在寅(문재인、ムン・ジェイン)議員が遊説を頻繁に行ったにもかかわらず、議席の殆どを国民の党に奪われた形となったため、文在寅議員に近い親文界(친문계)、党代表の金鍾仁(김종인、キム・ジョンイン)議員に近い金鍾仁グループ(김종인그룹)、「政治の1番地」であるソウル鍾路で当選を果たした丁世均議員に近いSK界(SK계)を中心とした党内闘争が見込まれます。
国民の党に関しては、湖南地方を中心に議席を伸ばしましたが、まだ結党して間もないこともあり、党内意見の集約、そして他地域での勢力拡大が課題となりそうです。
そして、議会全体としては、与党が議会第2党に転落し、法案成立が一層厳しくなることで、韓国政治は波乱の時期を迎えそうです。
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